2014年2月23日日曜日

ウォーペイント / ザ・フール


ウォーペイント / ザ・フール

Warpaint / The Fool(2010年リリース)
①Set Your Arms Down ②Warpaint ③Undertow ④Bees ⑤Shadows ⑥Composure ⑦Baby ⑧Majesty ⑨Lissie's Heart Murmur

【アルバムについて】
LA出身のウォーペイントを紹介するのに、ドリームポップと言ってしまえばそうなのだろう。2008年のデビューEP"Exquisite Corpse"はジョン・フルシャンテの手によりミックスされたり、メンバーだったジョシュ・クリングホッファーがレッド・ホット・チリ・ペッパーズに移籍するなど当時も音楽以外の話題性に事欠かなかったが、現在でもテレサ(ヴォーカル&ギター)がジェイムス・ブレイクと付き合っていたり、ジェニー・リー(ベース)がクリス・カニンガムと結婚していたりと話題豊富である。さて、2010年にリリースされたこの1stアルバム『ザ・フール』では商業的に大きな成功を収めることはできなかったように思う。セルフタイトルの2ndアルバム『ウォーペイント』は、2014年1月のリリースに合わせて精力的に世界各地をツアーをしており、ツアーの一環として先日のホステス・クラブ・ウィークエンダーにも登場し、2011年のフジロックに続く2度目の来日を果たしている。

【オススメ度】★★★★★
EP"Exquisite Corpse"が物凄い中身の濃いものであったのに対し、正直この1stアルバムはちょっとまとまり過ぎてつまらなく感じる部分もある。けれども個人的には本当に大好きなバンドで、特に⑥なんて何回聴いたかわからない。因みに日本盤にはボーナストラックとしてデヴィッド・ボウイのカバー'Ashes to Ashes'が収録されている。(k)

【hiroumiの感想】
前に「ドリームポップ」と形容されたあるバンドを聴いたことがあるのだが、まったく俺向きではなかった。だからいまここでこのウォーペイントをドリームポップと書かれているのを見て身構えてしまったが、さすがkakudaya氏が好むバンドだけあって以前感じたようなガッカリ感は無い。今まで聴いたことがなかったので音のイメージが全くなかったが、②と③(下のPV)を聴いてドリームポップという言葉では括れないスケール感があると思った。そして5年以上のキャリアがあるのに出たばかりのアルバムがまだ2枚目とか、先入観をことごとく覆してくれるね。



2014年2月16日日曜日

OFF! / First Four EPs


OFF! / First Four EPs

OFF! / First Four EPs(2010年リリース)
①Black Thoughts ②Darkness ③I Don't Belong ④Upside Down ⑤Poison City ⑥Now I'm Pissed ⑦Killing Away ⑧Jeffrey Lee Pierce ⑨Panic Attack ⑩Crawl ⑪Blast ⑫Rat Trap ⑬Fuck People ⑭Full Of Shit ⑮Broken ⑯Peace In Hermosa

【アルバムについて】
元Black Flag、元Circle Jerksのヴォーカル、キース・モリスが新たに結成したバンドで、最初のアルバムとなる本作は4曲入りの7インチEP4枚組という形での発表となった(CDは後からリリースされている)。1分前後の曲ばかりで全16曲で18分というハードコア・パンクなアルバムで、ジジイになってもその姿勢を貫くキースには尊敬の念を抱いてしまう。歳をとって日和ったあげく時代錯誤な音楽をやられるよりは、ハードコアであったほうが聴く方としても信用できるってものだ。ただ惜しいのは突出した曲がなく平均点的に聴こえてしまうことだが、わずかな時間で聴き終わってしまうのでそんなことは考える必要はないかもしれない。ちなみに、キースと親友であるレッド・ホット・チリ・ペッパーズのアンソニー・キーディスはプロモーションも兼ねてこのバンドのキャップを被っていて、2011年のサマーソニックの時も被っていた。

【オススメ度】★★★★★
2012年にはセルフ・タイトルの2ndアルバムをリリースし、今年2014年春には3枚目のアルバムを出すことが決まっているOFF!、俺は今のところこのアルバムしか聴いていないので比較することはできないが、USハードコアを好む者であればマストなアルバムであることは間違いない。去年、Black Flagが再結成して新しいアルバムを出したが、それを聴くよりは絶対に先にこのバンドを聴いておけというのが俺からのアドバイス。(h)

【kakudayaの感想】
Circle Jerksなんて聴いたことはないけど、編集盤"Wasted...Again"で聴いたBlack Flagデビュー当時のキース・モリスの歌い方はジョニー・ロットンの影響下にあり、パンクがハードコアに変貌していく過程を垣間見ているようで興味深い。そんな時代の生き証人みたいなミュージシャンが今も現役で、しかもこんな馬鹿みたいな音楽(褒めてる)を続けてることに勇気づけられる。継続は力なり。


OFF! / Darkness


OFF! / I Don't Belong

2014年2月9日日曜日

ドーター / イフ・ユー・リーヴ


Daughter / If You Beleive

Daughter / The Bones of What You Believe(2013年リリース)
①Winter ②Smother ③Youth ④Still ⑤Lifeforms ⑥Tomorrow ⑦Human ⑧Touch ⑨Amsterdam ⑩Shallows

【アルバムについて】
ドーターはロンドン出身の3人組。2013年に1stアルバム『イフ・ユー・ビリーヴ』をリリースし、同年のフジロックフェスティバルのレッドマーキーのステージに登場し初来日を果たす。迫る2014年2月15日(土)にはホステス・クラブ・ウィークエンダーにも登場が予定されている。中心人物のエレナ(ヴォーカルとギター)の佇まいはフロント(ウー)マンを務めるのにはいささか心許ないシャイなキャラクターのようで、MCも控えめに歌いながらシューゲイズする。だかその一所懸命な姿とそのサウンドが構築する世界に心奪われてしまう俺なのでした。

余談だが、最近のライヴではダフト・パンクの「ゲット・ラッキー」をカバーすることが定番となっているようだ。全く踊れそうにない。

【オススメ度】★★★★☆
この1stアルバムは2011年にリリースされた2枚のEPと比較してよりプロデュースされサウンドがはっきりしており、好みの分かれるところだろう。4ADの系譜に則った陰鬱さはあるものの、若さや瑞々しさをも感じるシューゲイザーといったところか。(k)

【hiroumiの感想】
4ADなんだ。コクトー・ツインズのようなジャケットだなと思ったらやっぱりそうか。トリオなのに壮大さを感じる曲なんだけど(下のPV)、しかし映像ばっかり見てしまう作りはずるいw あともうひとつ褒めるなら、アルバム収録曲のタイトルがどれも単語1つってところ。



2014年2月2日日曜日

ジェフ・バックリィ / グレース


Jeff Buckley / Grace

Jeff Buckley / Grace(1994年リリース)
①Mojo Pin ②Grace ③Last Goodbye ④Lilac Wine ⑤So Real ⑥Hallelujah ⑦"Lover, You Should've Come Over" ⑧Corpus Christi Carol ⑨Eternal Life ⑩Dream Brother ⑪Forget Her

【アルバムについて】
60年代のカルト的なフォーク・シンガー、ティム・バックリィを父親に持つジェフ・バックリィは、ニューヨークで音楽活動を始めたもののいまいちパッとせずに不遇の時期を過ごしていたが、亡き父のトリビュート・コンサートでその歌声で注目を浴びた。その後ライヴEPを経てこのデビュー・アルバムをリリースしたのだが、当時ロッキング・オンでも推していたから俺もその名を知り、すぐにアルバムを聴いた。当時はグランジやオルタナティヴがメイン・ストリームだったこともあり、そういうアレンジが多少はあるもののどこか物足りなさを感じていたが、彼のヴォーカルは本当に素晴らしいと思った。いま聴くとそのわずかながらのオルタナティヴ要素が邪魔くさいのがもったいないと思える。当時は割と夢中になって聴いていたから、次の新しいアルバムを期待していたのだけど、2枚目のアルバムを制作している途中に川で溺死という非常にショッキングな事故が起こってしまった。若くして亡くなるなんて、そんなところを親子で似なくても良かったのに・・・・。

【オススメ度】★★★★★
生前にリリースされたアルバムは本作のみだから、これを聴かなきゃ始まらない。俺はこのアルバムは本当に好きだったけど、死後に未発表曲を集めたアルバムやら、いろいろなアルバムがリリースされるものだから、いまは逆に醒めてしまっている。久々にこのアルバムを聴いたけどやっぱりいいわ。そろそろ死後に出たアルバムも聴いてみようかなと思う。(h)

【kakudayaの感想】
血統や若過ぎる死などどうでもよくなる名盤。カテゴリーとしてはロックの範疇に入るのだろうが実際にロック的な響きを聴かせてくれるのは⑨くらいで、初期衝動に任せたような安易なカタルシスを得ることはできない。型にはめられない、完全に唯一無二のジェフ・バックリィの世界がその声を中心に展開される。音源が限られてしまったことが非常に悔やまれるが、墓場を掘り起こすような行為はもうたくさん。